2024.05.24 お役立ち情報
財務省は財政制度等審議会を5月21日に開催し、「春の建議」をとりまとめた。医療関連は本文P.51~P.70、参考資料Ⅳ-2-3~53に掲載。日本の外来医療体制について、「諸外国と比べると、MRIやCTスキャナーの台数が極めて多く、1人当たりの外来受診回数も多い」と問題視。(参考資料Ⅳ-2-3等参照) 日本の医療保険制度は“過剰な医療提供を招きやすい”との見方を示し、質の高い医療を効率的に提供する観点から、「各地域の実情に応じて、診療所を含めた外来の医療機能の転換・集約を推進していくべき」とする改革の方向性を示した。
相変わらず、医療現場の状況や患者の要望を無視し、日本の医療保険制度「過剰な医療提供を招きやすい」と結論付けている。
建議は、「国民皆保険」「フリーアクセス」「自由開業制」「出来高払い」という日本の医療保険制度の特徴を列挙。過剰な医療提供を招きやすい構図で、今後加速する支え手(現役世代)の減少、医療の高度化・高額化の進展を踏まえ、質の高い医療を提供しつつ国民皆保険の持続性を確保していくための医療制度改革の必要性等に言及。
「参考資料」では元中医協委員の印南氏、野口氏等の「医療費の決定に係る世界的な研究動向」に対する見解を採用。「医師の増加が医療需要を喚起する」「医師間の競争が激しくなるほど、価格競争ではなく設備投資競争(MRI等)が起きる」との仮説は日本にも当てはまるとし、「各地域の実情に応じて、診療所を含めた外来の医療機能の転換・集約を推進していくべき」とする改革の方向性を示した。 ここでも医師間の競争激化が設備投資競争を助長しているとしている。
ちなみに参考資料Ⅳ-2-3では、画像診断機器の台数を日本と米英独仏で比較。日本の人口100万人当たりMRI台数、CT台数は、57.4台、115.7台と5カ国中でトップ。台数の最も少ないイギリスに比べ、MRIは約8倍、CTスキャナーは約12倍。1人当たり外来受診回数は日本が11.1回、5カ国中最低の米国は3.4回。
しかし、諸外国に比べ、日本では格安の高度な検査が安心して受信できる患者の視点は無視されている。