2023.04.21 お役立ち情報
〇JIRA山本会長「寿命超え機器の長期使用」に警鐘 サイバーアタックの懸念惹起し「意識変革」促す
MEジャーナル記事より
日本画像医療システム工業会(JIRA)の山本章雄会長は4月14日、横浜市で開かれた「国際医用画像総合展」で記者会見し、今年度は、次期診療報酬改定の議論が深まる「大事な年」と訴えた。改定要望の中で、長年の課題である特定保守管理医療機器の長期使用の是正をあげ、「サイバーセキュリティーが保たれない機器が世の中に残ってしまう」と懸念。新たにサイバーセキュリティーと組み合わせて、機器の長期使用をリスクだと警鐘を鳴らすことが、関係者の「意識変革」を促すトリガーとなり、具体的な対策につながるのではないかと期待した。
山本会長は同日の会見で、2023年度の「活動基本方針」として、(1)技術の進展や医療現場のニーズを踏まえた将来の医療現場への貢献(2)会員企業の開発を促す環境整備(3)環境変化に伴う共通課題に対する会員企業への支援の3つを重点課題と位置付けた。このうち、(2)(3)に説明の時間の大半を割いた。
(2)については診療報酬改定がメイン。SaMDについては、従来から訴えている働き方改革への貢献に対する評価などの必要性にも触れたが、同日は医療機器の長期使用などに強い問題意識を示した。
JIRAによると、医療機器に使用されている部品の保証期間は7年、10年程度を一区切りとしているが、それ以降の取り扱いは、製造業者として責任が持てないとしている。
ただ医療機関は、経営状況が厳しいことなどを理由に、医療機器の買い替えを先送りしており、保証期間を超える10年超にわたって使用し続けるケースも少なくない。
山本会長は、保証期間を超えた医療機器の使用し続ける医療機関について、「動いているから大丈夫という話があり、頭を悩ませていた」と振り返り、「ここ最近になって、長期使用とサイバーセキュリティーを結び付けて主張するようになった。医療機関も行政の方も、リスクと思ってくれると考えた」と胸の内を明かした。
とくに、ネットワークに接続された、セキュリティー対策が不十分な古い医療機器がサイバーアタックを受けると、「病院の全てがやられてしまう可能性がある」と危機感をあおり、長期使用とサイバーセキュリティーを結び付けることは、具体的な施策につなげていくための、医療機関、行政の「意識変革」を促すトリガーだとした。
◆被ばく管理の診療報酬上での対応も要望
また、2020年の改正医療法で、被ばく線量の適正管理が義務付けられた「管理・記録対象医療機器等」10品目が指定されたことを踏まえ、「画像診断管理加算の施設要件に“被ばく管理”を入れる、もしくは医療機器安全管理料1(ME機器)、同2(放射線機器)に加え、3を新設し、対象医療機器を入れる提案をしていく」(鍵谷昭典経済部会長)と説明した。このほか、撮像画像をチェックする「モニターの精度管理」も検討課題に位置付けた。
◆国際展開や会員企業の人材育成などにも対応
(3)については、国際展開について、欧州医療機器規制(MDR)への移行について期限延長に繋げたほか、スタートアップ、ベンチャーなどの会員企業の人材育成について、ビデオ・オン・デマンドの配信セミナーを4月(総合セミナー)、7月(専科セミナー)に開講。SaMDの適合性をサポートする試行的取り組み(別記事参照)も検討するとした。