2023.04.21 お役立ち情報
〇森光審議官 医療費総額の確保「非常に厳しい」
MEジャーナル記事より
厚生労働省の森光敬子審議官は4月15日、日本医学放射線学会のシンポジウムで、24年度診療報酬改定に向けたプラス財源の確保は、例年以上に困難を極めるとの見方を示した。
年々伸び続けると考えられていた医療費だが、コロナ禍で減少に転じたことを踏まえ、「財務省からは、医療費が減り、(コロナ5類への移行で)余計にかかっていた費用も減るので、『今度こそ医療からお金を返してもらおう』と言われる。伸びていない医療費をどう確保していくかというのが24年度改定。医療費総額としては非常に厳しい状況」とした。
森光審議官は、2021年度の「医療費の動向(概算医療費=労災、自費を除くもの)」のデータに基づいて、24年度改定のプラス改定実現に向けた道のりが極めて険しいことを解説した。
高齢化の進展と医療技術の進歩により、関係者一同が「伸び続ける」と疑わなかった医療費だが、20年度はコロナによる受診控えなどを受け、前年度比3.1%の減少に転じ、森光審議官をはじめとするエキスパートにも大きなインパクトを与えた。
世間や医療界が、コロナとの付き合い方に慣れてきた21年度の医療費は前年度比4.6%の増加となったが、コロナ前の19年度との比較では1.4%の伸びにとどまる。つまり、19年度から21年度でみると、年間0.7%ずつしか、医療費が伸びていなかったことになる。
財務省は、コロナ補助金などの支給や、近年のプラス改定で、医療への支出を重ねてきた。ただ24年度改定は、医療費の伸びの鈍化や、コロナ5類への移行で費用も減っていくことで巻き返しを図る気概を見せており、「今度こそ医療からお金を返してもらおう」と意気込んでいると、情勢報告をした。
このほか、診療報酬改定DXにより、改定の実施時期が後ろ倒しされた場合の財源の計算について質問を受けた森光審議官は、「現在、リアルタイムに財務省の方々とお話をさせていただいている」と述べ、保険料算定などにも影響が出ることから、「どう区切りを考えるのか、議論している」と語った。