2023.04.21 お役立ち情報
〇「技術とモノの分離」へ学会との更なる連携を JIRA鍵谷氏 特材制度の“当てはめ評価”は限界
MEジャーナル記事より
日本画像医療システム工業会(JIRA)の鍵谷昭典経済部会長は4月15日、医療技術に包括して評価されるCTなどの医療機器について、特定保険医療材料というモノを評価する制度をベースに“当てはめる評価”することには「無理がある」と指摘。精緻な評価に向けて、医師の技術料とモノ(大型機器)の価値を棲み分け、整理していかなければならないとして、学会と業界との「更なる連携が重要」と訴えた。
鍵谷部会長は、横浜市で開かれた、日本医学放射線学会のシンポジウム「明日の保険診療を考える」に登壇、講演した。
現在、画像診断、放射線治療装置などを含めた新しい医療技術の保険適用を求める場合、学会主導で中医協の下部組織「医療技術評価分科会」(医技評)に提案するルートと、医療機器メーカー主導で、「保険医療材料等専門組織」(保材専)に提案するルートの2つが存在する。
技術料に包括した医療機器の評価でもあることから、メインは医技評ルートで、企業主導でも、高い評価を求めるための「エビデンス作り」は、“学会頼り”になる。さらにプログラム医療機器(SaMD)も、技術料包括で評価される可能性も高いことから、学会と業界の密な連携は避けて通れないとした。
現行の医技評と保材専については、棲み分けが不明確な面もあると言われており、厚労省も交通整理を進めている。鍵谷部会長は、学会と業界の更なる連携が可能となるような見直しを要求。連携不足によって、学会提案で保険が認められたものの、全て薬事未承認で使用できる機器がなかったケースや、機器の仕様が特定メーカーの製品に限定されてしまい、意図せず本来保険適用されるべき機器が漏れてしまったりするケースが、未だに散見されることを明らかにした。
業界は、医技評ルートの提案を、多忙な学会に丸投げすることで、ケアレスミスが生じているとの見方を示し、制度上、業界によるダブルチェックで、こうした不具合を解消してはどうかと、厚生労働省に提案している。中医協でも、支払側委員を中心に、「技術の価値」と「機器の価値」をできるだけ分けて欲しいとの意見が上がっていることから、鍵谷部会長は、「患者視点に立って学会と業界が連携し、それぞれの価値の共有と、棲み分けが必要」と強調した。