2023.05.12 お役立ち情報
〇待鳥氏 過剰配置による医療費増の懸念は当たらない
国府台病院放射線科の待鳥詔洋診療科長は4月15日、日本医学放射線学会のシンポジウムで、財務省がCTやMRIの“過剰配置”に問題意識を表明していることに対し、画像診断に係る医療費が2002年からの20年間で、ほぼ横ばいで推移しているとして、「(問題視されるほど)そんなに増えていない」と説明。医療費全体に占める画像診断のシェアも低下傾向にあると報告した。
財務省・財政制度等審議会は2018年11月の建議で、CTやMRIの国内配置について、「人口当たりの設置台数が多い地域では、需要に比して過大な設備投資が行われている可能性や医療機関の収益を圧迫している可能性がある」と問題意識を表明。
「地域における高額医療機器の効率的な活用の観点から、地域の医療需要や、高額医療機器の設置が医療費・医療機関の経営に与える影響も勘案しつつ、機器の新規設置や更新の際に都道府県や医療関係者の協議を経る規制の導入など、高額医療機器の配置を適正化するための取組を行うべき」と主張。厚生労働省でも、医療計画の中で、医療機器の共同利用を促す仕組みが盛り込まれるようになった。
待鳥氏は、医療費全体に占める画像診断の割合(シェア)が2002年の5%超から、2021年には3%台後半にまで低下しているとのデータを紹介。高齢化と医療技術の進展で、医療費が右肩上がりで増え続ける中、画像診断関連の医療費は増えていないことから、必然的に画像診断の占めるシェアは低下傾向にあるとした。
待鳥氏は、「一般的にシェアが下がっていることは一般企業では問題にされるが、診療報酬の世界で生きている者にとして、これをどう考えるか」と問題提起。現在、診療科長として臨床現場で働く立場から、「個人的には、(医療の中で)画像診断のプレゼンスが下がっているとはとても思えない。ただ(医療費全体に占める画像診断のシェアについて)適正な水準がどこにあるのかという事は議論になる」との認識を示した。
MEジャーナル記事より