2023.05.19 お役立ち情報
〇中医協SaMDワーキング 機器業界からヒアリング
中央社会保険医療協議会・保険医療材料等専門組織の下部組織「プログラム医療機器(SaMD)等専門ワーキンググループ(WG)」は5月16日、医療機器業界からヒアリングした。医師の働き方改革(負担軽減)、医療の均てん化につながる画像診断補助プログラムの評価を求める業界に対し、委員からは、CT、MRI、内視鏡など画像診断が多岐にわたり、関連製品が出るたびに評価の可否を検討するという「非効率性」や「財源」に対する懸念が示され、提案の更なるブラッシュアップが必要との見方が示された。
同日は、日本医療機器産業連合会、欧州ビジネス協会、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)の3団体から意見を聞いた。前回のベンチャー系業界団体へのヒアリングを踏まえ、次回以降の会合で、委員から意見を聞き、WGとして論点整理をしていくことになった。
3団体の共通の要望をみると、予見性の向上に向けて、技術料包括のSaMDについて、特定保険医療材料制度の評価軸や評価係数を準用するよう要請。類似する技術料を準用して評価する際、「準用技術料の選定基準」を明確化していくことが必要ではないかと訴えた。医師の負担軽減、働き方改革、医療費減、均てん化など“政策的な医療に貢献するSaMD”については、診療報酬による加算評価が、これらの重要政策の加速につながるとの認識を示した。発売後の機能向上を踏まえ、評価の引き上げを求めることができるチャレンジ申請の拡充も要望した。
SaMDのコスト構造については、無体物なので製造原価が比較的小さいものの、市販後にコストがかさむと指摘。具体的には、システムを動かすOSの更新、情報セキュリティー対策などに研究開発費用がかかることが一般の医療機器と異なるとし、原価計算方式で申請する際の「研究開発費」に、こうした費用を含めて欲しいと要望する団体もあった。
事務局によると、同日の会合では、SaMDの保険上の評価についての予見性向上や、コスト向上について議論が集中したという。
委員からは、AIを使った診断補助プログラムについて、「医療従事者の負担軽減につながるが、多くの患者を診ることができる医療機関側の新たなメリットにもつながる。更なる追加的な診療報酬の評価というのは、どういった部分を評価することになるのか、しっかり考えていく必要がある」との意見が寄せられた。チャレンジ申請の柔軟化については、一部の委員から、業界の主張に理解を示す発言があった。
SaMD特有のコストについては、「どこにコストがかかっているの明らかにしていく必要が、SaMDを評価する上で重要な点。より実態が分かるように、コスト構造の透明性を高める企業努力が必要」と、企業側に求める場面があった。
MEジャーナル記事より