2023.05.26 お役立ち情報
〇静脈麻酔を支援するソフトウェアのプロモーションを開始 日本光電 麻酔科医の負担軽減・医療安全向上に期待
日本光電は5月23日、手術時の静脈麻酔薬の投与量を自動制御する全静脈麻酔支援シリンジポンプ制御ソフトウェア「ROP–1680 AsisTIVA」のプロモーションを開始すると発表した。日本初のロボット麻酔システムを担う主要ソフトで、生体情報モニタと接続して使用。麻酔深度・鎮静度や筋弛緩を表す指標や評価などに基づき、成人患者の全静脈麻酔時に投与する麻酔薬の量を自動的に演算し、シリンジポンプの設定を制御する。
国内の麻酔科医は不足傾向で、長時間労働を強いられている。日本光電は、「ROP–1680 AsisTIVA」を使用することで、麻酔科医の業務負荷軽減や医療安全の向上への貢献できると期待している。ただ、麻酔科医にかわって全身麻酔を代行するものではなく、あくまで“支援”という位置づけだ。
「ROP–1680 AsisTIVA」は、3カ月単位で、最長1年間を期限とするライセンスを付与する形で使用する。今後3年間で 100セット以上のライセンス販売を目標としている。価格は1カ月あたり数十万円とする方向で、長期使用による割引も検討している。今年度中の販売を計画している。
具体的な使用方法は、日本光電製の生体情報モニタネットワークに、ソフトウェアをインストールしたパソコンを接続することで、BIS(麻酔深度・鎮静度の指標)やTOF(筋弛緩の評価)などのデータをオンラインで取得。全静脈麻酔時に投与する、鎮静薬(一般名:プロポフォール)、鎮痛薬(一般名:レミフェンタニル塩酸塩)、筋弛緩薬(一般名:ロクロニウム臭化物)の3剤の投与の自動制御を可能とする。
国内の全身麻酔手術は約220万件。このうち全静脈麻酔は約4分の1を占める。「ROP–1680 AsisTIVA」を使った管理は、当面の間、米国麻酔科学会術の全身状態分類「ASA–PS分類」で、肥満や糖尿病など「軽度の全身疾患を抱える患者」までを対象とする。
現在、組み合わせて使用するシリンジポンプは、テルモの「テルフュージョン シリンジポンプ」に限られる。今後、シリンジポンプの機種を広げていくかどうかも、検討段階だとして、明言していない。