2023.06.02 お役立ち情報
〇厚労省が「SaMD二段階承認」で開発ガイダンス公表 探索的試験でも有効性の確度高ければ「第一段階で承認」
厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課は5月29日、プログラム医療機器(SaMD)の開発サイクル迅速化に向け、いわゆる2段階承認の考え方をとりまとめた開発ガイダンスを公表。
治療用SaMDについては、少数例の探索的臨床試験(フェーズ2)の結果で、「一定の有効性が蓋然性をもって確認できる範囲」であれば、第一段階承認を付与すると整理した。具体的には、「症状緩和又は状態改善等が示されるもの」であれば、第一段階承認を付与するとし、「治療補助、支援」まで踏み込むと、第二段階承認が必要になるとした。
今回の開発ガイダンスは、「プログラム医療機器の特性を踏まえた薬事承認制度の運用改善検討事業」の一環で、二段階承認の考え方を含め、プログラム医療機器の特性に合った薬事承認制度の在り方を整理したもの。
SaMDは従来の医療機器と比べて、安全性に大きな問題が生じにくいという特性があることから、いわゆるリバランス通知(「医療機器の『臨床試験の試験成績に関する資料』の提出が必要な範囲等に係る取扱い(市販前・市販後を通じた取組みを踏まえた対応)について」)の考え方を参考に、市販前から市販後まで一貫した安全性・有効性の確保策を実施することで、早期に承認申請を行い得ると考えられるケースがあるとして、考え方を明確化した。
ガイダンスでは、診断用、治療用、予防用SaMDの二段階承認についての考え方を整理したが、なかでも治療用については、新たに考え方を提示している。
具体例として患者の行動変容を促す「糖尿病治療補助プログラム」を例示し、探索的治験成績を実施して、糖尿病由来の病的な症状等の緩和・改善が示された場合には、第一段階承認を付与するとした。
そのうえで、特定の症状等の緩和・改善のみではなく、「糖尿病の改善や長期的な有効性を標榜する場合」は、治療成功を示す目的で実施する臨床試験で評価することが必要になるとし、第二段階承認となるとした。
診断用SaMDについては、「既存のリバランス通知をほぼ踏襲している」(医療機器審査管理課・プログラム医療機器審査管理室・飯島稔室長)として、治療用SaMDほど新しい考え方が示されたわけではないが、具体的な事例では一部踏み込んで整理したという。
「患者容態増悪評価プログラム」では、医療従事者の判断の参考情報となり得るパラメータ、スコア、容態増悪リスクを提示するのは第一段階で可能だとし、「患者の容態増悪リスクなどから“疾患の増悪等を予測する”」ものは、第二段階承認となると規定した。
なお予防用SaMDの二段階承認については、「既承認品がないため具体的な議論は見送った」(飯島室長)としており、具体例も掲載しなかった。
MEジャーナル記事より