2023.07.07 お役立ち情報
〇「AIの精度差」が放射線科医のパフォーマンスに影響
医療AIの性能が放射線科医の診断にどのような影響をもたらすか。この問いに対する1つの答えとして、韓国の医療AIスタートアップ「Lunit」はソウル大学病院との共同研究により、「より高精度のAIモデルが放射線科医の胸部X線読影パフォーマンスを向上させること」を実証している。
Radiologyに掲載された研究では、5-18年の経験を有する放射線科専門医20名と、2-3年の研修を経た放射線科レジデント10名を対象に、Lunitが市販する胸部X線画像解析AIソフトウェア「Lunit INSIGHT CXR」の支援を受け診断を行うよう求めている。その際、同じAIモデルを2種類の異なる精度設定で試験しており、1つはフルバージョンのLunit INSIGHT CXRを「高精度AIモデル」として、もう1つはトレーニングデータを全体の10%に制限したモデルを「低精度AIモデル」として用いた。これら2つのモデルの支援を受けた放射線科医の読影精度を比較することで、AIの精度が診断精度にどの程度影響を及ぼすかを評価した。その結果、高精度モデルではAUC 0.88である一方、低精度モデルではAUC 0.77と有意に医師の診断精度に差が生まれることを示している。
さらに、診断パフォーマンスに影響を及ぼす要因を解析した結果、放射線科医個人の専門知識やAIの使用経験、AIの提案に対する受け入れ度など、個人特性の影響は極めて小さく、「AIモデルの精度差」が診断パフォーマンスの差に独立して関連することが示されている。LunitのCEOであるBrandon Suh氏は、「この研究は医師個人の特性に関わらず、高精度AIの活用が診断精度を大幅に向上させることを裏付けている」と語った。
参照論文:
Effect of Human-AI Interaction on Detection of Malignant Lung Nodules on Chest Radiographs
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The Medical AI Times記事より