2023.07.14 お役立ち情報
〇医療機器46社の21年度業績を本紙が集計 「2桁増収」もコスト増吸収できず「営業減益」
国内で株式を上場し、医療機器事業を手掛けるメーカー46社の2022年度業績を、本紙が集計した。新型コロナウイルス感染症の流行から3年目を迎え、いわゆる“ウィズコロナ”も浸透したことから、2桁増収の確保につながった模様。ただ利益面では、急激な円安、原材料価格の高騰、インフレやサプライチェーンの混乱などを受けたコスト増を吸収しきれず、全体としては減益に沈んだ。
◆円安、原材料価格高騰のコスト増「吸収しきれず」
医療機器事業を手掛ける46社の22年度業績は、売上高7兆2002億1900万円(前期比12.8%増)、営業利益7596億5100万円(5.0%減)と、2桁増収、営業減益となった。
21年度は、ワクチン接種などが進んだ影響で、20年度の落ち込みから急回復、2桁の増収増益決算となっていた。ただ22年度は、円安に歯止めがかからず、半導体や部材など、原材料価格の高騰に対応しきれなかった模様。営業活動の正常化なども、コストを押し上げたとみられる。
◆海外業績は総じて業績堅調か
オリンパスやテルモなど、医療機器専業大手の決算短信をみると、総じて海外事業の回復が鮮明化。中国のロックダウン解除なども手伝った。とくにオリンパスは、新製品の販売が好調に推移した結果、営業利益の伸びは27.7%に達するなど好調だった。
◆国内は診療科ごとに濃淡
国内の状況をみると、冠動脈系、リズム系の処置などのカーディオバスキュラー領域で、急ぎでない手術症例を延期するよう指示が出るなど業績を下押しする要因のほか、いわゆるコロナ補助金などを受け、気管支鏡などの売上が堅調に推移するなど、診療科間でバラツキがあったとみられる。
◆次期業績予想は減収増益 上位10社は業績回復が鮮明に
次期業績予想をみると、開示した40社の合計で、売上高6兆9479億6400万円(3.5%減)、営業利益8064億300万円(6.2%増)と、減収増益を見込む。業績上位10社をみると、増収、増益を予想する会社はそれぞれ9社となり、大手企業の業績は回復傾向にある。
MEジャーナル記事より