2023.07.28 お役立ち情報
〇中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会(第120回)
中医協・保険医療材料専門部会が7月26日に開催され、保険医療材料等専門組織(保材専)から、次期保険医療材料制度改革に向けた意見を聴取。プログラム医療機器(SaMD)については、第一段階承認時点での保険外併用療養費制度の活用が盛り込まれた。医療従事者の労働時間を短縮させる製品については、「人件費の減少などにつながるといった側面を考慮すべき」と整理され、評価の方向性は明確に示されなかった。
政府の規制改革推進会議では、SaMDの特性を踏まえ、2段階承認制度の創設や、それを踏まえた評価の在り方、保険外併用療養費制度の活用などを検討課題に位置付け、厚労省に検討を求めていた。これを受けて厚労省は、保険医療材料等専門組織の下にSaMD等専門WGを設置し、中医協での議論が本格化する前に、専門的な見地から検討を進めてきた。
保材専の意見をみると、SaMDの2段階承認に対する保険上の対応について、「第一段階承認時点では有用性に関する評価が限定的で、最終的に希望する保険償還価格での評価は難しい」とし、「保険外併用療養費制度の活用についても検討が必要」と提案した。診療側委員から、詳細の説明を求められた保険局医療課の木下栄作医療技術評価推進室長は、「第一段階承認を受けたものについて、評価療養として実施について検討すべきではないかという意見」と補足した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「最初から評価を確定しにくいSaMDもあると個人的に感じている。保険外併用療養費制度を活用して迅速使用を優先し、有用性が証明された段階で保険償還価格を判断することは十分考えられる」と同調した。
保材専の意見では、医療機器業界が求めていた、医療従事者の労働時間を短縮させる製品の評価について、(1)「短縮した時間の分の人件費が減少しうる」(2)「短縮した分の時間を別の診療行為に費やすことで別の報酬を得ること」といった側面を考慮すべきと整理。明確に評価する流れになるかどうかは、今後の業界意見陳述での議論に委ねられる。
支払側の松本委員は、「現在、医師の働き方改革がうたわれている中で、(人件費の減少や、別の報酬を得る機会がある、といった側面を考慮すべきとの保材専の意見は)今後重要な視点だ」とコメントした。
意見では、SaMDの有用性の評価基準や予見可能性について、「用途や使用目的、使用形態に応じた分類ごとに検討すべき」と指摘した。臨床的な有用性を含めて、どのよう観点で評価がされるのか、明確化していくことが重要との考えも示された。そのうえで、個々の製品に応じて、特定保険医療材料、技術料への加算、技術料への包括、施設基準の緩和等に分けて整理していくべきとした。
診療側の茂松委員(日本医師会副会長) は、「技術料での評価を念頭に置いた場合、診療報酬点数における加算などの議論は、点数全体の仕組みと調和を持って考えるべき。医療機器だけ特別扱いすることについては非常に慎重にあるべき」とくぎを刺し、原則として特材として評価するよう求めた。
このほか保材専からは、他の医療機器とは異なるコスト構造を踏まえた、SaMDの原価計算方式、アップデートにより性能が向上する特性を踏まえ、チャレンジ申請や他の制度の活用を含めた再評価の在り方等について、検討の必要があるとした。