2023.10.20 お役立ち情報
〇中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第211回)
厚生労働省は中医協「薬価専門部会」を10月18日に開催し、薬価の下支え制度や安定供給の確保等について議論を行った。
その中で、薬価の下支え制度・安定供給が確保できる企業の考え方として、
・最低薬価が設定されていない剤形に最低薬価を設定することも一案だが、具体的な価格の妥当性について業界から説明が必要。
・最低薬価は剤形だけの取扱いであり、医療上の必要性や乖離率は要件ではないので、どのように薬価の下支えを進めることが適切なのか、現在の最低薬価が安定供給可能な価格であるかも含め、製造原価の変動状況等のデータに基づき検討すべき。
・前回の薬価改定で臨時・特例的に実施した不採算品再算定の適用品目について、仕切価率のデータを見る限りでは、前回の薬価改定の意図が適切に反映されていないと言わざるを得ない。
・不採算品再算定を受けた品目について、過度な値引きの対象になっていないかどうか、実態を確認すべき。
・医薬品の安定供給の問題は医薬品業界の構造的な課題に端を発するものであり、診療報酬上の評価では根本的な解決にはつながらない。安定供給の実現には、後発医薬品業界全体の産業構造の見直しが必要。
・安定供給について薬価のみで解決することは難しく、サプライチェーン強化といった総合的な対策が必要といった意見が挙がった。
それに対して、関係業界の主な意見として、
・薬価を下支えする仕組みの充実が必要であり、基礎的医薬品の対象の拡充、不採算品再算定の柔軟な適用、最低薬価の新たな区分の設定・設定価格の見直しなど見直すべき。
・古くから薬価収載されている品目について、その医療上の必要性を判断する仕組みが必要であり、まず安定確保医薬品を精査すべき。
・原材料等の物価高騰等は依然として継続しており、適時薬価を引き上げる仕組みが必要といった意見が挙がった。
また、今回示した医薬品流通の課題に関して、どのように考えるか。調整幅の在り方が継続検討事項とされ、過度な薬価差の偏在に関する課題も指摘されているが、流改懇において流通に係るこれらの課題について検討が行われることから、これらの関係会議での議論や薬価差の実態に関するデータ等も踏まえつつ、検討を進めることとしてはどうかとの意見に、関係業界からは調整幅は、すべての流通当事者にとって重要な役割を果たしており、調整幅の引下げは医薬品の継続的な安定供給にとって重大なリスクとなっているとした。
また、診療報酬改定がない年の薬価改定について、どのように考えるかとの意見に、関係業界からは毎年改定により加速度的に薬価が低下することが、日本市場の魅力の低下、早期の採算性悪化につながり、革新的医薬品の早期アクセスや医療上必要性の高い医薬品の供給に影響を及ぼしているとした。