2023.10.20 お役立ち情報
〇国立大学病院 2023年度収支見込は302億円の赤字 機器の更新額は534億円「老朽化が一層進む」
国立大学病院長会議の横手幸太郎会長は10月13日の記者会見で、国立大学42病院合計の2023年度収支見込みについて、急激な物価高などの影響で、302億円の赤字になるとの見通しを示した。医療機器の更新可能額は合計534億円と、前年度から183億円も減少。更新額は、耐用年数の2倍以上使用している資産2945億円の約18%程度に過ぎないとして、横手会長は「一層老朽化が進む」と嘆息した。
横手会長は23年4月から6月の実績を踏まえて2023年度の収支見込みについて、物価・エネルギー価格の高騰と、コロナ補助金の縮減により302億円の赤字になると予想した。赤字病院は42病院中33病院。
とくに経営努力では回避できない費用負担が続いているとし、光熱水費については、2019年度のコロナ前と比べて163億円増の402億円まで膨らんだ。24時間対応が求められる集中治療室や手術室のほか、画像診断機器などの高度先進医療機器の電気代が嵩んでいることを明かした。
このほか、高難度治療に必要な医薬品・医療機器の費用負担の増加、医師の働き方改革・処遇改善に伴う人件費増などが、経営を圧迫した。
経営が厳しい中、続けてきた医療機器の更新先送りは「限界」と強調。機器の耐用年数を2倍以上超えている資産は2945億円と全体の32%を占め、更新が急務としたが手つかずのまま。横手会長は、「安全関心で、高度先進的医療を継続するため、財政的な支援が必要」と訴えた。「いつもお金をくださいというだけで芸がないと自分たちでも思っている」と自虐的に語りながら、「コスト高などで、診療報酬の中だけではできなくなってきている」
MEジャーナル記事より