2023.11.10 お役立ち情報
〇財政制度等審議会 財政制度分科会(令和5年11月1日)
財務省の「財政制度等審議会・財政制度分科会」が11月1日に開催され、2024年度の診療報酬改定では診療所の初・再診料を中心に報酬単価の引き下げ等により、診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当だと主張。「機動的調査」を踏まえた提言で、診療コストにきめ細かく対応する地域別の単価の検討といった対応案を示した。
また、診療所の報酬単価を引き下げる方策として、マイナ保険証利用時の患者負担の軽減や、リフィル処方箋の利用実績を踏まえた調整措置も挙げた。
財務省が医療法人の経営状況を調べた機動的調査の結果によると、2020年度~2022年度にかけて診療所の収益は12%増加する一方で費用は6.5%増加し、経常利益率が5.8ポイント上昇した。この間の利益剰余金は全体で1,900万円(約2割)増えており、これは医療現場の従事者の賃金を3%引き上げるのに必要な経費の約14年分に相当する額だという。
また、全国の医科診療所(入院外)での1回の受診当たりの医療費が2019年度から2022年度にかけて年平均で4.3%上昇し近年の物価上昇率を大幅に超えた水準で急増している。
こうしたデータを基に、財務省は診療所の経営状況が「極めて良好」だとし、2024年度の報酬改定で診療所の初診料・再診料を中心に報酬単価を引き下げる必要性を指摘。
さらに、診療所が過剰な地域から不足している地域への医療資源のシフトを促すため、診療報酬1点当たりで異なる単価を設定する仕組みの導入も提案した。財務省は、診療所の大都市への偏在には、コストの地域差も影響しているという見方を示した。
また、医療サービスの対価に当たる診療報酬本体をマイナス改定とすることで、現役世代の保険料負担の軽減による手取り所得を確保することも提言した。
病院については、看護師などの処遇改善加算の成果の検証や、看護配置に過度に依存した報酬体系からの転換を求めた。
その上で、職種ごとの給与や人数の情報提出の義務化が必要だと提案。診療報酬の加算の算定に当たって職種別の給与の提出を要件にすべきだと主張した。