2023.11.24 お役立ち情報
〇財務省・財政制度等審議会が「建議」を取りまとめた
財務省は財政制度等審議会を11月20日に開催し、「2024(令和6)年度予算編成に向けた建議」を取りまとめた。
診療所・病院・調剤ごとに異なる経営状況や課題があるとして、2024年度診療報酬改定では「十分に踏まえたメリハリをつけた改定」を主張、利益率が高い診療所に対して、報酬単価を「5.5%程度引き下げるべき」とした。
日本医師会など医療団体はこれに猛反発しているが、財政審の提言(秋の建議)にそこからさらに踏み込んだ。
提言は、財政審の十倉会長(経団連会長)が鈴木財務相に手渡した。その後の記者会見で「総理が現役世代の実質賃金の上昇を政策課題に据える中で、必要な水準以上に診療報酬を維持すればその分、国民が納める保険料は引き上がることとなる」と説明した。
建議では、診療所の経営状況について、経常利益率は8.8%と好調で、1医療法人当たり 1.24億円の利益剰余金が積みあがっていると分析。「近年の物価上昇率を大きく上回る単価増・収益増や、極めて良好な経営状況等を踏まえ、診療所の報酬単価について初診料・再診料を中心に引き下げ、診療報酬本体をマイナス改定とすべき」とした。
具体的には、診療所の経常利益率8.8%を、全産業やサービス産業平均の経常利益率の3.1%から3.4%と同程度にあわせるには、「5.5%程度引き下げ」が適当とした。
病院については、医師の働き方改革への対応、2年前に措置された看護職員等の処遇改善の検証、看護師配置に過度に依存した診療報酬体系の見直し、公立病院改革の推進等の課題に適切に対応していく必要があると指摘した。
また、薬価制度については、イノベーションの適切な評価と、特許の切れた「長期収載品」 の自己負担の在り方の見直しを「あわせて実施すべき」と訴えた。毎年薬価改定については、「2年に1度しか適用されないルールがあるのは説明が困難」として、「2025年度改定においては、既収載品の算定ルールについては全て適用すべき」とした。