2023.12.01 お役立ち情報
〇中央社会保険医療協議会・総会(第566回)
中医協・総会が11月22日に開催され、 市販の放射性医薬品を製薬会社から購入して供給を受ける「デリバリー」の方法で実施されるPET(陽電子放射断層撮影)検査について、2024年6月から薬剤料と撮影などに係る技術料で評価することを提案し、概ね了承された。
PET検査は、使用する放射性医薬品を医療機関内で製造する方法と、デリバリーの方法の2通りある。診療報酬では現在、院内製造のケースを想定し、撮影などに係る技術料として評価している。デリバリーの場合もこれと同じ評価で、PET用の放射性医薬品の薬価算定を行っていない。
近年では主にデリバリーの場合を想定したPET検査が登場してきており、院内製造の場合を想定した現行の評価体系が実態に見合っていないとの指摘がある。
こうした状況を踏まえて、PET検査への評価を2024年度の診療報酬改定で見直し、デリバリーの場合と院内製造の場合とで区別する。具体的には、デリバリーの場合での撮影などに係る技術料を新設するとともに、PET用の放射性医薬品について薬価算定を行う。一方、院内製造の場合は従来通りの評価となる。
また、医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の年内までの特例措置について議論し、診療側委員が来年1月以降も継続するよう求めた。
これに対して支払側委員は、納得できる合理的な理由が示されなければ継続には賛同できないと反発した。双方の意見を踏まえて、厚生労働省は年明け以降の対応をどうするか検討する。
後発品の使用促進に関する報酬の加算について、国は医薬品の適切な提供につながる取り組みを実施した場合の評価の上乗せを4月から行っている。医薬品の供給が不安定な状況を踏まえた特例的な措置で、適用の期限は12月末。対象となるのは、一般名処方加算、後発医薬品使用体制加算、外来後発医薬品使用体制加算、地域支援体制加算の4つ。
このうち、後発医薬品使用体制加算では、医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があることや、変更する場合には入院患者への説明を十分に行うこと等を院内の見やすい場所に掲示するといった施設基準を満たせば、従来の加算1~3に20点がそれぞれ上乗せされる 。
診療側委員は「後発医薬品の供給不安定が解消されておらず、むしろ悪化しているとも言える」と説明した上で、医薬品を安定的に供給する取り組みを促していくため「特例措置を継続していただく必要がある」と訴えた。
一方、支払側委員は、特例を設けるかどうかをかつて中医協で議論した際に支払側が「供給不安の真の被害者は患者だ」と主張したが「当面の対応」ということでやむを得ず了解した経緯を説明。その上で「納得できる合理的な理由が示されない限り継続は賛同できない」とした。