2023.12.08 お役立ち情報
〇中央社会保険医療協議会・保険医療材料専門部会(第125回)
中医協・保険医療材料専門部会が11月29日に開催され、医療機器業界からの第2回目の業界意見陳述が行われた。
医療従事者の労働時間短縮につながるプログラム医療機器(SaMD)について、業界側は特定保険医療材料の改良加算の評価軸と同様、「時間短縮に関する評価軸を設定いただきたい」と再度申し入れたが、支払側委員は、「保険での評価は賛同しかねる」と難色を示した。
業界側はSaMDについて、医療従事者の時間短縮への貢献を評価するよう、中医協の下部組織などでも再三求めてきたが、今月中旬に開かれた材料部会で、「それのみでは原則として加算として評価しない」と、事務局が整理するに至っていた。
そのため同日の材料部会で業界側は、特材の「改良加算(ホ)」の評価軸に「手術時間の短縮等による従来の医療従事者に対する貢献や新たな医療従事者に対する貢献」が盛り込まれていること等を引用。SaMD評価において、医師以外に行うことができない手術で、診療行為の時間削減に寄与するような、技術料包括のSaMDについて、「評価軸を設定頂きたい」と分かり易いイメージを示しつつ巻き返しを図った。
支払側委員は、「労働時間短縮は医療機関のメリット。技術料で包括評価されている場合、企業にとっては価格交渉が有利になりシェア、売上拡大に繋がる側面もある」と強調。そのうえで、「保険財源を使って評価することは保険者として単純に賛同しかねる」と難色を示した。
この件で、公益側委員から時短につながるSaMDの競争力やシェアについて質問。医機連の山本会長は、「まだ黎明期だが、使用する医師がどんどん増えていることも事実」と、市場規模は小さいものの急拡大している実情を説明した。
公益側委員から、時短につながるSaMDの代表例について説明を求められ、山本会長はAI(人工知能)の画像診断補助を例示。医師2人による読影体制が一般的だが、「最終チェックは医師が行うが、2人目の読影を、人工知能を使って効率化する例が出てきている」とした。
この件について診療側委員が、「AIは補完的に用い、最後は医師の責任で診断を下さないといけない」とコメントしたが、山本会長はこの発言に全面的に同意したうえで、「医師が最終判断するところに、何らかの貢献ができないかという提案」と述べ、改めて業界の訴えへの理解を求めた。