2023.12.08 お役立ち情報
〇自民党・議連 「認知症の診断・治療推進」で提言 アミロイドPET検査用の院内製剤「他施設提供を可能に」
自民党の「ラジエーション知識を普及させ安全利活用を推進する議員連盟」(田村憲久会長)は、12月7日、「日本の認知症(アルツハイマー病を主とした)診断・治療を推進するための提言」を取りまとめ、武見敬三厚生労働相に提出した。早期のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の投与可否判断に必要なPET検査に用いる放射性医薬品について、「院内製剤の他施設での利用」などを求めている。
提言は、「レカネマブ」の保険適用が目前に迫る中、投与可否を判断するための「アミロイドPET検査の保険適用の早期化」など8項目を掲げている。
アミロイドPET検査に用いる、院内製造された放射性医薬品(院内製剤)を他施設に供給するためには、病院が製造業許可を取得しなければならず、ハードルが高い。提言では、薬事規制に不慣れな病院が、業許可を取得しやすいサポートなどを求めている。院内製剤の他施設への提供が実現すれば、多くの検査が実施できる体制が整い、費用が掛かる院内製造装置(サイクロトロン)のコストも回収でき、ひいては検査コストの削減にもつながるとしている。
またアルツハイマー病の早期発見に向けて、簡便な血液検査の活用も求めている。現時点で、レカネマブの投与可能性のある軽度認知障害などの疑い患者すべてが、確定診断につながるアミロイドPET検査や脳脊髄液検査を受けるのは、費用面、侵襲面のほか、膨大な数の検査が必要になることから現実的ではない。提言では血液検査を、乳がん検診のように年齢などで対象者を絞って(健康診断のオプションとして)実施し、スクリーニングを掛けてはどうかとしている。
認知症のAI(人工知能)読影画像診断ソフトウェアの開発促進の重要性も指摘。アミロイドPETの画像診断ソフトウェアの開発を促すほか、アミロイドPET、血液検査、MRIなどの検査結果を一元管理し、総合的に診断可能なシステム開発なども急務として、公的研究費の設定などの必要性を明記した。あわせて神経細胞の変性の直接可視化などが期待される次世代の画像診断技術である「タウPET」の開発促進に向け、公的研究費を増大すべきと提案した。
このほか、居住地を問わず、均質な医療サービスを受領できる観点から、認知症疾患医療センターの体制強化や階層化、施設基準の明確化に加え、PET装置の配備なども求めた。認知症に特化した介護士の養成や、画像を含む総合的な患者データを基軸とした予見・診断から治療・予後管理までの「経時的な診断情報が把握できるペイシェントワークフローの確立」を訴えている。
その他
〇中央社会保険医療協議会・総会(第568回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00227.html
〇中央社会保険医療協議会・総会(第570回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00229.html
〇中央社会保険医療協議会 総会(第571回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00230.html
〇中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第219回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212451_00083.html