2024.01.12 お役立ち情報
〇メドトロニック 補正インスリン自動投与の新ポンプ発売 CGMと連動で「生活に合わせたインスリン治療」が視野
日本メドトロニックはこのほど、一時的な高血糖を是正する「補正インスリン」の自動投与機能を新たに搭載した「ミニメド780Gシステム」と、皮下の間質液中のグルコース濃度(センサグルコース値)を持続測定できる「ガーディアン4スマートCGMシステム」の販売を開始した。糖尿病患者は、両製品の併用で、「インスリン治療に合わせた生活」から、「生活に合わせたインスリン治療」への転換が視野に入る。
◆「インスリン治療に合わせた生活」から解放
国内の1型糖尿病患者は約9.2万人。若年発症が多いことから、長期間にわたって最適な治療法を選択しながら血糖管理し続けることが求められる。ただ、運動量、心理状況、多様な食事など、様々なことを考慮しながら最適なインスリン量を考え、投与することは大きな心理的負担となり、「インスリン治療に合わせた生活」を強いられがちだ。
◆一時的な高血糖に「自動対応」
今回発売した「ミニメド780Gシステム」は、従来モデルに備わっている基礎インスリン自動調整機能をそのままに、新たに「補正インスリン」の自動投与機能を追加。皮下の間質液中のグルコース濃度を持続測定できるCGM(持続グルコースモニタ)「ガーディアン4スマートCGMシステム」との併用で、基礎インスリンの自動調整・投与だけでは対応困難な、一時的な高血糖、食後高血糖への対応が可能となる。
具体的な「補正インスリン」の自動投与機能をみると、最大基礎レートに達し、センサグルコース値が120ミリグラム/デシリットルを超える場合、システムが5分ごとに自動でインスリンを投与する。
◆指先穿刺の血糖自己測定による「較正」も不要
併用する「ガーディアン4スマートCGMシステム」は、従来品と異なり、センサグルコース値を実際の血糖値を近づけるための「較正」が不要。これにより糖尿病患者は、較正のために1日3回、4回実施していた、指先を針で刺して血液を採取する血糖自己測定から解放され、実際の血糖値を入力する手間も省くことができる。
◆アップデートでポンプ交換も不要に
また従来品「ミニメド770Gシステム」を使用中の患者は、インスリンポンプを交換せず、専用アプリから「ミニメド780Gシステム」へのアップデートも可能だ。
データ連携も進化させた。「ミニメド780Gシステム」と「ガーディアン4スマートCG Mシステム」は、従来のスマートフォンアプリとの連動にとどまらず、「Apple Watch」にも対応していることから、CGMの値やアラート発生を手元で簡単に確認できる。インスリン注入履歴を含めた各種データはリアルタイムでクラウド保存され、患者、医療従事者がアクセス可能になる。
◆慈恵医大・西村教授 先進国同様の負担軽減制度創設を切望
東京慈恵会医科大の西村理明・糖尿病・代謝・内分泌内科教授は、「低血糖を予防しつつ、推定HbA1c6.7%(平均)、Time In Range76%(平均)を達成しているという結果が示された。使用者の75%が治療目標であるHbA1c7%未満を達成していることから、本テクノロジーの使用により血糖管理の改善につながると期待している」とコメント。「このような新しいテクノロジーが、我が国に導入されるにあたり、是非、患者の経済負担に対して、他の先進国と同様な負担軽減制度が創設されることを、強く希望する」と切望した。
MEジャーナル記事より