2024.02.22 お役立ち情報
〇網膜眼底画像によるパーキンソン病スクリーニング
パーキンソン病は、脳黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの進行性喪失により、運動制御が次第に困難となる。パーキンソン病に関連した死亡は2000年以降2倍以上に増加しており、その主要な原因は高齢者における「適時での質の高い介入」の欠如が挙げられている。
このほどScientific Reportsから公開された研究論文では、ディープラーニングにより、網膜眼底画像からパーキンソン病をスクリーニングできる可能性を指摘している。パーキンソン病に対する網膜バイオマーカーを深く理解するためには、網膜血管系の構造的変性に関する十分な知識が必要となる。これを臨床的に実施することはしばしば困難であるが、AIは網膜の局所的および大域的な空間レベルでの複雑な関係の解明に役立つ可能性がある。本研究は、前述の課題に対処するためにAIアルゴリズムの使用を提案するもので、「眼底画像からPDを診断するための最初の大規模AI研究の1つである」としている。
特徴選択法や外部の定量的尺度を一切無視することで、研究者らはAIアルゴリズムの診断能力を最大化した。ディープニューラルネットワークは、従来の機械学習モデルを凌駕し、網膜眼底画像におけるパーキンソン病の検出において顕著な性能を示した。このモデルは、0年から5.07年までの間、80%の感度で正式診断前のパーキンソン病発症率を予測することに成功した。また、5.07年から5.57年の間に感度は93.33%まで上昇し、5.57年から7.38年の間に81.67%まで低下した。これらの結果は、早期疾患介入の可能性を示すものとして有望と言える。チームでは、実臨床現場におけるAIモデルの信頼性を確立するため、多様なサンプルを用いた追加研究を模索している。
参照論文:
Deep learning predicts prevalent and incident Parkinson’s disease from UK Biobank fundus imaging
関連記事:
The Medical AI Times記事より