2024.03.08 お役立ち情報
〇神経膠腫の領域を「精密に抽出するAI」を共同開発 富士フイルムと国がん 治療前の画像評価精度が向上
富士フイルムと国立がん研究センターは2月28日、MRI画像から、希少がんの神経膠腫(グリオーマ)の疑いのある領域を精密に抽出する人工知能(AI)技術を共同開発したと発表した。同社は治療前の画像評価の精度向上を期待している。
神経膠腫は悪性の脳腫瘍のひとつ。患者数が少ない希少がんで、原発性悪性脳腫瘍の中では最も多いとされる。神経膠腫が大きくなると、頭痛、吐き気、運動機能や言語機能の障害といった、様々な症状が発生する。
神経膠腫の治療は、治療前に実施するMRI検査で画像を評価した後、手足の動きや言語などの機能を温存しつつ手術で腫瘍を最大限摘出し、放射線治療や化学療法を行うことが一般的。近年、がんなどの腫瘍の観察には、MRI画像から腫瘍領域を抽出し体積を計測するAI技術の活用が進んでいるが、神経膠腫に特化したものは存在しない。
今回、国立がん研究センター研究所らのチームが、富士フイルムの「SYNAPSE CreativeSpace」により、頭部MRI画像から神経膠腫の領域を抽出するアノテーション作業を効率的に行い、作成したデータをAIに学習させて開発した。
開発したAI技術により、神経膠腫の治療前の画像評価を、より高い精度で行えることで、将来的に、早期発見や診断の精度向上、放射線治療や手術などの治療計画の最適化などに役立つことが期待できる。
なおチームは国立がん研究所医療AI研究開発分野の小林和馬研究員、浜本隆二分野?、同中央病院・脳脊髄腫瘍科の高橋雅道医長、同放射線診断科の三宅基隆医長らがメンバーとなる。
富士フイルムと国立がん研究センターは今後、「SYNAPSE CreativeSpace」を活用して開発したAI技術の初の社会実装に向けて、本技術を搭載した製品の早期の市場導入を目指す方針。
MEジャーナル記事より