2024.03.22 お役立ち情報
〇富士フイルムと名市大 AIを共同開発 治療で改善できる認知症”の診断精度が向上
富士フイルムと名古屋市立大は3月18日、MRI画像から脳脊髄液腔の各領域を抽出するAI(人工知能)技術を共同開発したと発表した。これにより、「治療で改善できる認知症」と言われ、早期発見が重要なハキム病(特発性正常圧水頭症=iNPH)の診断精度向上が期待される。
共同開発は、富士フイルムのクラウド型AI技術開発支援サービス「SYNAPSE Creative Space」を活用した成果。富士フイルムが、このAI技術を搭載した製品の早期市場導入を目指していくことになる。
iNPHは、脳にたまった脳脊髄液が脳を圧迫することで、歩行障害や認知障害、切迫性尿失禁などの症状を引き起こす進行性疾患。「治療で改善できる認知症」とも呼ばれ、発症早期であれば脳内の脳脊髄液を排除することで症状が改善する。ただ進行してから治療を受けても、介護が必要で、自立した生活を取り戻すことは困難とされる。
iNPHは、脳委縮と判別することが難しい。両疾患を判別するうえで重要な画像所見である「くも膜下腔の不均衡分布(DESH)」は、医師の主観評価に頼らざるを得なかった。
今回共同開発したAIは、DESHに関係する脳脊髄液腔の各領域(高位円蓋部・正中のくも膜下腔、シルビウス裂・脳底槽、脳室)を抽出するもの。MRI画像から脳脊髄液腔の各領域を抽出でき、さらに、領域毎の体積や領域間の体積比を算出することで、脳萎縮とiNPHを判別するのに重要な画像所見であるDESHの判定に大きく寄与し、診断精度向上につながると期待される。
The Medical AI Times記事より